どうしてこうも、 運がないのだろうか?
■ 手日記哀歌 ■
最近、いいことがない気がする。
むしろ悪い事つづきだと思う・・・。
それもこれも!あの男のせいなんだっ!!
僕の身に降りかかる災難を記録しておこう。
おやつに食べようと思っていた焼プリンが消えているのに気付いたその瞬間。
何故か突然ひらめいた。
早速、真新しい青いカバーの日記帳を片手に机に向かう。
初めにするべき作業はただひとつ。
《まるひ》と書くこと!
○月×日 サラマンダーの曜 晴れ
僕の朝は早い。
そして、朝っぱらから災難だ。
『ヤツ』と、はちあわせしてしまった。
「・・・おはようございます」
声をかけるのはすんごく嫌なのだけれど、顔をひきつらせて挨拶した。
な・の・に!!
見事に素通りされた。
こっちはかなりの精神力を消費して声をかけてやったというのに。
ヤツは少し歩いた後、くるりと振り向いた。
それはそれは優雅に。
よく手入れされた綺麗な金髪に澄んだ蒼い瞳。
男の僕から見ても、はっきり言ってカッコイイ。
しかし顔立ちは中性的な感じで、もしも女性だったら・・・・・ あぁ、何を考えているんだ、僕は。
とにかく!ヤツは僕の方へ振り返ると
「失礼、急いでいて気がつかなかった。これからアンジェラ・・王女を起こしに行くので」
そしてヤツは足早に消えていく。
・・・少しでも褒めてしまった自分が憎らしい・・・!
ヤツは僕の憧れの高嶺の花、アンジェラ姫様を呼び捨てにしている。
なんてうらやまし・・・いや、無礼なやつだろう。
というか姫様を起こすのは僕の仕事ではなかったか。
僕は怒りのあまり、庭園の池に足を踏み入れていることに気がついていなかった。
「・・・ヴィクター殿?」
通りすがりの女官に変な目で見られた。
あぁ寒い。
理の女王様のお力も落ちてきているからなぁ・・・・・。
足が冷たい。
どれもこれもヤツのせいだ。
○月△日 ウンディーネの曜 快晴
今日は僕にとって最高の曜日のハズだった。
一応、姫の教育係というなんともおいしい・・コホン、なんとも名誉な職についている僕は、
軽い足取りで姫の部屋へと向かっていた。
「アンジェラ姫〜!お勉強の時間でっすよ〜☆」
ガチャリと元気に扉を開くと。
「ヴィ・・ヴィクター・・・随分早かったわねぇ」
「姫様・・・何をしてらっしゃるので・・・・・」
窓から不自然に身を乗り出している彼女の横を見ると。
やっぱりいたのか。ヤツだ!!
姫様に気をとられてまったく見えていなかったよ。
「アンジェラ、今日はやめようか?」
勝手に耳へ入ってくる会話。
「いやよ!せっかくうるさいホセがでかけてるんだからアンタと遊びに行きたいの!!」
せっかくの2人っきりでお勉強vvデイはまたしてもヤツによって壊された。
と、一瞬ヤツの蒼い瞳が僕を映して――――― ・・・・・
微笑!!?
勝ち誇った顔。
あぁ腹が立つ! 最悪だ!!
自分の日記を見て思う。
僕って・・・ハードな日々を送っているんだな・・・。
その次の日も次の次の日も次の次のそのまた次の日もロクなことがなかった。
気分のせいか知らないが、無意識のうちにブルーのペンを握っていた僕。
○月□日 マナの休日 快晴
きのう雨が降り、今日は雲1つない快晴。
・・・・・僕の心は毎日土砂降なのだけど。
今日は姫様のお勉強もなく、週に1度の王立図書館開放日なのでなんとなく立ち寄ってみた。
さすがに人が多い。
・・・ところでヤツは純・一般国民だった気がするのだけど。
普段は王族や城仕えの者が利用する図書館。
ヤツは魔法の勉強のために通っているだけだ。
しかし絶対に僕より頻繁に出入りしている。
・・・・・あぁ胃が痛い。
胃をおさえつつ、なるべく静かな場所で本を読もうとうろうろしていたら。
―――――またしても僕の前に・・・・・!
そこは禁書棚だった。
魔力のない、もしくはあったとしても王族並の力を持つ者でないと触れられないと言われる『智の棚』。
そうでないものが触れた場合、本はめちゃめちゃに散らばる。
大量の本とほこりが積み重なっている、その中心に。
(ひ・・姫様と・・・・・ヤツ!?)
2人とも本に埋もれていたが、よく見るとヤツが姫様に覆い被さっている。
普通に見れば姫をかばった青年、という褒められるべきシーンなのだけれど。
やっぱり僕の思考はそっちへむかう。
なんて危険な状態なんだ!
「姫さ・・・・・」
駆け寄ろうとした僕の足はある光景によって向きを変え、出口へと走り出していた。
終わった。
グッバイ、僕の青春。
涙が後ろへと流れていく。
あぁ、輝く夕日さえあれば完璧なのに。
残念ながら、現在太陽がさんさん気持ちのいいおやつ時。
パタンと日記を閉じる。
なんて切ない日々なんだ・・・・・!
もう日記なんてやめたやめた。
これ以上惨めな気持ちになるなんてごめんだ。
傷心の僕は、またしても突然ひらめいた。
何故か置いてあった牛乳プリンを発見した瞬間のことだった。
・・・・・妄想日記にしよう!!
怪しげに微笑む僕を見て、女官が怯えていたなんて 僕は知らない。
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・・・怖い・・・!!
ヴィクターファンの方にはなんともごめんなさいな作品・・・。
紅アンはシリアスになりがちなのでギャグにしようと思ったら。
・・・申し訳ないデス(滝汗)
一応、シリーズになってます。
あと2つ、紅蓮さんとアンジェラver.があります〜☆
そちらも出来次第送りつけようかと・・・(苦笑)
それでは失礼致しました!
朝凪さんから頂きました★
ヴィ、ヴィクタ〜!!って感じで、私は1人パソコンの前で爆笑してしまいました(笑)
ギャグもののぐれあんと言うのがまたツボでございます!!
朝凪さん、素敵な小説をありがとうございました!